【スペシャルインタビュー 西尾憲人 Sharjah Tour第3ステージ終了後】
2024年1月26日から31日5ステージで中東UAE(アラブ首長国連邦)のSharjahで行われているSharjah Tour (UCI 2.2)。
第3ステージを終えた西尾憲人選手にインタビューに答えてもらいました!
問)まずは初日の第1ステージ(134.46㎞)の第一印象を教えてください。
西尾)初めてのSharjah Tour。パレード区間から「道が広い!」というのが第一印象です。
そして、今回出場人数が150人くらいいます。普段の日本でのレースはJプロツアーはもちろん、ほぼ日本人。UCIレースでも、集団の多くが日本人選手の場合が多いのですが、今回は、150人のうち日本人は我々6名だけ。集団の人数も多いし、その中の海外の選手がデカイ!と思いました。
©SharjahTour 第1ステージの広い道を走る集団 ※クリックで拡大画像が見られます。
問)そんな中でのレースを振り返ってください。
西尾)はい。海外勢の中でも、愛三工業レーシングチームのチームメイトが積極的にアタックにも反応して走っている姿を目にしました。自分自身も愛三で初の海外レースということでしっかり走って結果につなげたいと思っていました。
アタックに反応することはできはしましたが、決まる逃げにはならなかったです。
ただ先頭に出て、UAEの風を受けた時には、これをずっと受けて逃げてフィニッシュまで行くのは厳しいなとも感じました。
最終的には集団でのフィニッシュも想定していました。
なので、あのよう状況で逃げ切ったメンバーは、ある意味"異常"ともいえるかもしれません。
彼らは本当に強かったと思います。
集団もプロコンチネンタルチームのコラテックや、地元UAEの選手など複数チームで追っていましたし、かなりのスピードだったので、追いつくだろう思っていました。
問)色々な意味で普段とは違うレース環境の中だったと思うので周りの選手、風などいつも以上に気を配ったり考えることもあったかと思いますし、冷静に走ることはできましたか?
西尾)はい。シーズン初戦ということもあり、自分の実力が全く走れないのか、思ったより走れるのか実はスタートしてみないとわからない部分もあったのです。なのでオーバーヒートしないように気をつけながら、走れましたし、現状の自分がわかったことも良かったです。例年より早いシーズンスタートの中、この時期に自分のチカラを知れたことは大きな収穫だとも思っています。
問)チームメイトとの連携含め、集団内でもお互いが見える状況でしたか。
西尾)はい。翔太郎さんもかなり積極的に動いているのも見えましたし、みんなもそれぞれ動いているのも見えたし、ここは自分だ!ということも分かったりして自分自身も動きやすかったです。
問)初日の感想をまとめると?
西尾)翔太郎さんと草場さんの2人を落車で失ってしまった状況での最終局面でした。岡本選手を軸にとるはずだった連携は自分たちのスタイルには持っていけなかったという反省点とその中でも4人でできたことは大きかったです。
問)そして第2ステージです。スタート直後から集団が分断されるという展開となりましたが振り返ってください。
西尾)近未来的な建物をぐるっと1周して広い道路に出てレーススタートだったのですが、広い道路に出る前に、もう先頭がはるか彼方に見えていました・・・。
自分自身深く反省しているのは、心の準備不足もあったかなと思っています。あのような状況になることがほんの少しでも想定の中にあったら心の片隅で準備ができていたのかなと。
どこかで、逃げができて、コントロールするチームがあって、最後は大集団でまとめてフィニッシュかなと思っていたのです。
まさか頭からくるとも、思っていませんでしたし、またもし前半に動きが出ても後半にはまとまるだろうと思っていました。なので想定できていなかった自分のミスもあると今は思っています。
©SharjahTour ※クリックで拡大画像が見られます。
問)もし想定できていたらどういった対策ができたと思いますか。
西尾)パレードもない中でのスタートだったので、自分でできたことと言えばアップをもう少しして、建物をぐるっと周るとことろでもアドバンテージがとれるということを理解し、例えばスタート地点で前方に位置することもできたかなと思います。
あとは、チーム内でそういう可能性もあると話していたら少しは違ったかなとも思うのでもっと話をしていても良かったかなとも思っています。個人の反省点とともにチームとしての反省点もあると思っています。
問)スタート直後に大きな動きがあり、そこに追いつくことは厳しい中でも137㎞のレースは走り切らなければなりませんでしたがそこからはどういう思いで走っていましたか。
西尾)実際自分がいたところからは、前方の集団の状況がなかなか把握できていませんでした。
自分と草場選手がいた集団は20人ほど。自分より前にいたのは、岡本選手、當原選手、石上選手。自分の後ろに翔太郎さんが取り残されてしまった集団がありました。
自分が把握できているのはこの3集団でした。
どうにか、當原選手、石上選手のいる集団に追いついた時には、岡本選手はいなかったのですが、そこの状況は正直わかっていませんでした。フィニッシュして話をして、岡本選手のいた集団も割れていたことなどを知ることができました。
問)情報を把握するのも大変でしたね。選手がばらける中での補給や風についても教えてください。
西尾)はい。タイムボードは出なかったですね。補給は、岡本選手をサポートしながらも、小松監督が自分たちにもしっかり補給をしてくれたので問題なかったです。
ただあるはずだった補給地点(マッサーなどのスタッフが先回りして道路わきに立って補給が許される場所)がレース開始30分前に突然なくなったりして、それもアジアツアーの洗礼かなとも思っています。風はやはり感じています。横風、向かい風はあおられるのですぐに感じますが対応はできています。
日本では例えばビニール袋が風に舞うことはあると思うのですが、こちらでは、目に見える「砂が束」が移動しているのが見えることがあるので、それだけ風が強いのだなと思います。
問)大変な第2ステージを終えて、今日はタイムトライアルでした。10.12㎞は長かったですか。自身の走りを振り返ってください。
西尾)長く感じましたね。タイムトライアルは心の準備も含めて準備が全てと言ってもいいと思っています。その中でできるベストは尽くせたかなと思います。
願わくば試走ができればよかったのですが、朝予定されていた試走が突然のスコールで中止になってしまいましたが問題はありませんでした。
©SharjahTour 個人タイムトラアルを走る西尾選手 ※クリックで拡大画像が見られます。
問)Sharjahでの生活は問題はありませんか。
西尾)お陰様で、ホテルも快適で食事も美味しくいただいています。いわゆる"アジアツアー"を知っている面々からは、こんな豪華なのは普通じゃないよ。と言われています。
それと、UAEの景気の良さも感じますし、それもあってか、現地の方々が皆さん笑顔で優しくしていただいています。アラビア語のシュクラン(ありがとう)を常に感じています。
問)明日の休息日を挟んであと残すところは2レースです。
西尾)はい。明日は軽くトレーニングをして翌日に備える予定です。レースに関しては、総合争いは、残念ながら狙える位置にいる選手はいないのですが、第4ステージのクイーンステージは、まだチームオーダーが決まってはいませんが、自分としては全力で勝負したいなとは思っています。逃げ、最後の山岳で頂上フィニッシュも含めて悔いのない走りをしたいと思っています。そして最終日はスプリントの可能性があるのでしっかり役割を果たしたいと思っています。
問)日本から沢山の方々が応援してくださっています。皆さんに向けてお願いします。
西尾)皆さん、いつも応援いただいてありがとうございます。2024年の開幕戦と位置付けているSharjah Tourで、チームとしても個人としても思い描いていたスタートとは少し違ってはいて悔しさもあるのですが、最後まで皆さんが見ていて、応援していてよかったなと思えるようなレースを走りができたらいいなと思っています。
なので最後まで応援よろしくお願いします!!
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