ロードレース日本一を決定する全日本選手権が6月26日(日)に岩手県八幡平市の八幡平パノラマラインで開催されました。愛三レーシングチームは選手9名全員がエリートカテゴリーに出場、アジアツアーで培ってきたチーム力を武器に日本一奪還を目指しました。今年は世界のプロツアーチームでトップ選手と共に戦う別府史之選手、新城幸也選手らが単騎参戦。大震災の爪あとが残る岩手県での開催となった今年の全日本は例年以上の盛り上がりを見せました。
初戦のツールドランカウイから始まり、各国アジアツアー、国内UCIレースに参戦してきた愛三レーシング。前半戦を締めくくるタイトル戦での優勝は叶いませんでしたがチームとしての走りをしっかりと見せてくれました。いつでも経験を確かな力に変えてきた愛三レーシング。今回の全日本で感じた悔しさをきっと勝利に変えてくれることでしょう。後半戦もその戦いに期待です。
別府匠監督のレースリポートで今年の全日本を振り返ります。
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第14回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース
岩手山パノラマラインコース 201.5km (15.5km×13周回)
text:Takumi BEPPU(Team Manager)
今年も日本一の選手を決める大会「全日本選手権」が岩手県八幡平で行われました。毎年ツールドフランス前のこの時期に行われる全日本選手権。優勝するとその後1年間ナショナルチャンピオンジャージを着用することができ、選手・チームにとってもシーズンで大切なレースになります。
今回は選手9人全員が参戦しました。初めての全員出走でのレースでしたが、これまでのステージレースの経験があったので選手同士のコミュニケーションの心配はしていなかったし、一人ひとりの役割を発揮すれば自ずと結果は出ると考えていました。
年に一度の選手権大会。スタート前は緊張感が漂う
海外で活躍する選手も単騎参戦。新城幸也選手と並ぶ西谷泰治選手
いよいよ日本一決定戦がスタート
コースプロフィールはスタートから平坦基調で6km下って行き、その後鋭角コーナーを右に抜け直線5km下り基調の平坦を走り、右に直角に曲がりゴールまで4km上っていく15.5kmの周回コースを13周する総距離201.5km。
レースはスタートして1周目の上りで6人の逃げ集団が形成された。ここに愛三から鈴木謙一選手、Nippoの佐野選手、シマノの阿部選手、宇都宮ブリッツェンの小坂選手、湘南ベルマーレの選手2名が入った。有力選手の佐野選手が入っていたため要注意の逃げであったが、鈴木選手が乗っていたこと、まだ他のヨーロッパ組の選手が入っていなかったことなどから、ヨーロッパ組の選手達や逃げに乗っていないチームの様子を見る状態になった。
鈴木選手が6人の逃げに入る
遠く岩手でも愛三応援団が選手に声援をおくってくれました
最大6分まで差を広げた6人の逃げ
メイン集団内を走る中島康晴選手
綾部勇成選手
伊藤雅和選手
福田真平選手
盛一大選手と品川真寛選手
木守望選手
3周目で前との差は6分。そこで集団は活発になり一列に伸びて一気に前との差が3分台になる。そして5周目の上りでレディオシャックの別府史之選手が早くも前のグループを追ってアタック。これにシマノの村上選手しか反応できず2名の追走を形成した。その後別府、村上が逃げに追いつき、ここから2名脱落し再び6名の逃げが形成される。
愛三としては、有力どころの別府選手、佐野選手、そしてシマノの選手が2名入ったことにより不利な状況になったため前を追わなければならなくなった。
今回組織的に追えるチームは数が少ないため先に多く選手を逃げ乗せ、たとえ有力どころが後ろからアタックしてきても十分にプレッシャーをかけられる状態を作るという作戦だった。しかしそううまくはいかない。愛三の選手たちはメイン集団の頭を果敢に引き、チーム間の引きと攻撃で一度集団を振り出しに戻した。これで当初の作戦を決行できなかった穴を埋めることができたがチーム的にはそこで力を使いすぎる結果となった。
6名の逃げ集団
鈴木謙一選手
逃げを追う別府史之選手
愛三レーシングがメイン集団を引く
木守選手
西谷選手は集団内
長く伸びるメイン集団
別府選手が合流し新たに逃げが形成された
メイン集団を引く中島選手
レース終盤にむけ集団内で走る西谷選手
品川真寛選手
他チームも協力体制に入り逃げを追う
盛一大選手
集団が1つになってから集団は活性化してアタックが繰り返されがチームでそれを許さず最後まで集団でまとめた。そして最終回の上り勝負を迎えたが中盤で駒を使いすぎてしまったため着を狙う選手も後半に脚を使い、にゴール勝負を前に遅れてしまう。優勝は前半から積極的に動いていたレディオシャックの別府選手。愛三の選手は西谷選手が13秒差の7位、綾部選手が25秒差の10位でゴールしました。これによりUCIポイントは12点と6点で18点獲得しています。
残り周回前に集団が活性化。アタックに反応に前を追う綾部選手
西谷選手
盛選手
伊藤雅和選手
別府史之選手が6名の中から圧倒的なスピードでゴールに飛び込んだ
西谷選手は7位
綾部選手は10位だった
今回は有力どころが前半から積極的に動く展開で後半に向け判断が難しい場面が何度かありました。そして別府選手のアタックにシマノの村上選手(しかし後に先頭グループから脱落)だけしかついて行く判断でできなかったところを見ると、力の差があったことは否めません。その場面で愛三の選手が1名着けたら展開は変わっていただろうし、どこのチームが先頭集団を追ったのかは興味があるところでもあります。
毎年全日本では愛三レーシングが先頭を引く場面があるのであまり褒められたものではないですが、自分たちでレースを作っている自覚があるのでできることだと思います。レースをひっくり返す力があるだけに有利な展開で進んだときのことを考えると少し残念に思うこともあります。しかし選手達の新たなる可能性を見たレースでもありました。こういう経験をして選手は強くなります。今回のレポートは、たらればやネガティブな表現が多いですが、これも選手たちの実力がこんなもんではないと思っているからです。ここで悔しかった思いを次のレースにぶつけてもらい、更なる飛躍に繋げていって欲しいです。
シーズン前半戦とともに、今回の全日本選手権ではたくさんの応援をありがとうございました。優勝はできませんでしたが力を見せることができたと思います。シーズン後半も前半の勢いそのまま継続し勝利を目指して頑張って行きます。後半戦も愛三レーシングチームの応援をよろしくお願いします。(チーム監督 別府匠)
みなさん、ほんとにお疲れ様でした。シーズン後半の活躍も期待してます!