みなさまいかがお過ごしでしょうか。愛三工業レーシングは今(5/19現在)ツールド熊野、ツールドシンカラ、そして6月26日に行われる全日本選手権に向けて強化合宿をしています。
本来なら今週はツアーオブジャパンが行われているのですが、今年は東日本大震災の影響で中止になってしまいました。ぼくらはレースを通じてみなさんに元気や勇気を伝えられることができると信じているのでかなり残念な出来事でした。
だからというのもなんですが、今回の合宿はツアーオブジャパンを意識したトレーニングになっています。月曜日に奈良、火曜日は飯田、水曜に美濃、木曜日は移動日、金曜日は伊豆、土曜日は富士山ステージをイメージしてトレーニングメニューを考えました。選手達には感じてもらえてるでしょうか。
5月26日から5月29日まで行われるツールド熊野。愛三工業レーシングは1年ぶりの参加になります。熊野と言えば愛三!というくらい愛三工業レーシングは熊野のコースが得意です。
2001年にツールド熊野の前身になる第2回3DAY ROAD 熊野で当時選手だった田中GMが第2ステージを独走で優勝し、そのまま個人総合優勝しました。そして2003年には当時新加入の西谷選手が第3ステージ優勝し新人賞を獲得。2005年は当時新加入した盛選手が初日のタイムトライアルでいきなり優勝し、そして広瀬選手が個人総合2位、盛選手が4位。
2006年度は広瀬選手が個人総合4位、当時新加入の綾部選手が5位。2007年は盛選手が個人総合優勝、綾部選手が5位。2008年には広瀬選手が個人総合2位。そして2009年は品川選手が個人総合4位と、思いつくだけでも常に総合争いをして上位入賞しています。
かくいう私もツールド熊野ではありませんが、第2ステージとほぼ同じコースで行われた全日本実業団で優勝したことがあります。それくらい愛三は得意としているコースです。2011年度チームとして初めて参加するこのツールド熊野で、アジアツアーで走ってきた実力を発揮したいと思います。
また6月6日から6月12日まで行われるツールドシンカラは3年連続3回目の出場です。このレースはインドネシアのスマトラ島の都市Padang(パダン)Bukit tinggi(ブキティンギ)、そしてレースの名前にもなっているSingkarak湖(シンカラこ)を中心に走るレースです。
スマトラ島は2年前のスマトラ沖地震とそれから起こる津波の影響で、多くの人が被災し、建物が崩壊してしまいました。去年のレースに参加したときにその光景を目の当たりにしました。しかし人々は被災に負けることなく明るく、レースも行われました。レースが行われた理由も人々に力を与えるためでした。今度は僕らが力を分けてもらう番かもしれません。
あれだけの被害があったにもかかわらず行われたレース。ぼくらは日本の被害の状況を理解した上で、それでも走る理由があるということを示し、レースを通じてお互いに励まし合えたらと思っています。
レースは連日距離が短いのですが、パダンの街を駆け抜けるテクニカルな周回コースのステージに始まり、44ものつづら折れが続くケロック44という峠道のステージ、凄まじい下り坂が続くステージ、道幅が車1台走れるくらいの湖畔の狭い道をくねくねと延々走るステージなど、まさにアジアツアーを代表するサバイバルなレースです。去年は自分が個人総合12位、鈴木選手が13位と残念ながらUCIポイントに届きませんでしたが、今年はポイント圏内を狙っていきます。
またツールドシンカラ期間中に6月5日に広島森林公園で行われる西日本実業団クラッシック、そして6月12日に秋田・大潟村ソーラーラインで行われる全日本選手権タイムトライアルがあるので、チームは二つに分かれます。今年もタイムトライアルのナショナルチャンピオンを狙い、タイトルを奪還したいと思います。
出場メンバーはレースが近づいてきたときに追って発表します。この2つのアジアツアーのレースをベースにして全日本選手権につなげていければと考えています。
また現在イタリアではジロデイタリアが行われています。弟のFumyも参加していて日々白熱のレースが続いていますが、去る第3ステージで不幸にも落車による死亡事故が起きてしまいました。亡くなった選手は下り坂で後ろを確認したときにバランスを崩して転倒。そしてそのときに頭を打ってしまい鼻から出血。そのまま帰らぬ人となってしまいました。その選手はヘルメットをしっかり被っていたのにもかかわらず頭部に損傷を負ってしまいました。
安全に走るための装備ももちろん大事、そして安全に走るための技術も大事です。ヘルメットを被っているからと言って危険な走行をしていては元も子もありません。安全に絶対はありません。自分に技術があると思っている人でも思わぬ事故にあることだってあるのです。
なので普段から十二分に注意することによって、そういったリスクを軽減して、楽しく自転車を乗れるように心がけて、みんなで気をつけていきましょう。
愛三工業レーシングチーム監督 別府匠