REPORT

ツール・ド・シンカラ stage6 愛三の走り、そして復興への思い

6月1日~6日までインドネシアで開催された「ツール・ド・シンカラ(UCI 2.2)」。
6日(日)に最終日、第6ステージが行なわれ全日程が無事に終了しました。
チームは現在、日本に向けて移動中です。

アジアツアーを主戦場とする愛三レーシングにとって、狙うはもちろん総合上位でありステージ優勝。今回は初日チームタイムトライアルで1分6秒遅れからのスタートとなり、連日愛三らしい走りで見せ場を作ってきたものの、アジアランキングに名を連ねる強豪イラン勢の強さに苦しめられてきました。

最終日は距離は140kmとこれまでに比べれば長いですが、平坦基調でなかなか逃げも決まらない予想。しかしひとつでも総合を上げ今後に手ごたえを残せるレースに期待したいです。


〔第6ステージ 140km〕
photo:Sonoko TANAKA


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今日のスタート地点は第3ステージでゴールした街「Bukit Tinggi」。ホテルからスタート地点に向かう時は小雨が降っていたが、スタート前には止んで太陽の日差しも照り始めた。
今日の愛三チームは、鈴木謙一と別府匠の個人総合が上がるよう逃げに乗って逃げ切ること。逃げが決まらなくて集団ゴールになる場合は、福田真平、品川真寛、綾部勇成でステージ優勝を狙うことである。


第6ステージは美しい湖「シンカラ湖」を1.5周する
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photo:Sonoko TANAKA


南国の日差しが照りつける
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photo:Sonoko TANAKA


パレード走行後リアルスタートして、いつものようにアタックがかかり数名抜け出すがメイン集団に吸収される。謙一と匠、綾部もメイン集団から抜け出すが逃がしてはくれない。
リーダーチームは、昨日のステージで逃げ切られていることもあってか、それともスプリンターのSohrabi Mehdi選手にステージを獲らせたいのか、抜け出しても20秒以内ですぐに逃げを吸収していく。

70km地点で、1名抜け出し(7 ELEVEN RACING TEAMのCarrera Sherwin選手)50秒ほどタイム差が開いたが80km地点で吸収、そこからゴールまではアタックはかかるがすぐ吸収されてしまった。
そして集団ゴールへ。
真平、品川、綾部は特にラインは組まず各々単独でスプリントに入り、綾部がステージ8位でフィニッシュした。


補給を受け取る福田真平選手
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photo:Aisan Racing Team


パンクした別府選手の状況を聞くためチームカーに下がった鈴木選手
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photo:Aisan Racing Team


逃げに乗ったものの痛恨のメカトラ。必死で集団を追う綾部選手
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photo:Aisan Racing Team


雄大な自然の中を走る集団
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photo:Sonoko TANAKA


集団に復帰し最後はステージ8位でフィニッシュ
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photo:Sonoko TANAKA


総合順位13位で今大会を終えた鈴木謙一選手
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photo:Sonoko TANAKA


コンスタントに調子の良さをみせた別府匠選手は総合12位
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photo:Sonoko TANAKA


今回、謙一と匠のエース・サブエースで挑んだが個人総合12位と13位で終了した。イランの選手たちの登坂力は強力であったが、謙一と匠の力であれば個人総合が1桁の順位も可能であったと思う。彼らは今回の結果を踏まえて各々の改善点を見出してくれたので、今後のレースに期待したいです。

また約1週間後には、同じインドネシアで「ツール・ド・イーストジャワ」に出場します。全日本選手権ロードの直前であるため調整を兼ねながらにはなりますが、UCIポイントの獲得も目指し臨みたいと思います。
次のレースもご声援をよろしくお願い致します。(監督 田中光輝)


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レース後の会場はたくさんの人でにぎわった
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photo:Sonoko TANAKA


最終第6ステージで、愛三レーシングはチーム区間2位になりました。また、綾部勇成選手が2つ目のスプリントポイントを2位通過、そして総合の山岳賞も2位となりそれぞれ表彰を受けました。
最終日に5人全員で表彰台に上がれるのは格別ですね。


スプリントポイント2位で表彰される綾部選手
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photo:Sonoko TANAKA


第6ステージ団体2位で表彰
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photo:Sonoko TANAKA


大規模な地震の被害を受けたインドネシア 西スマトラで行なわれた「ツール・ド・シンカラ2010」。復興への願いを<ロードレース>という人間味溢れる競技に託し、今年も無事に大会が終了しました。
各開催地の熱烈な歓迎を受けながら6日間のステージレースを走り抜けました。

今回愛三レーシングは、この「ツールドシンカラ」に対して、ただ走るだけには止まらない様々な思いを抱いて臨みました。
チームはプロとして成績を目指し走ります。
それと同じくらいの重みを持って、復興から立ち上がろうという人々の願いがこもったこの「ツールドシンカラ」に対し、自分達にできる「何か」を考えてきました。
そして今回、レースでの賞金の一部を復興のために役立てて欲しいという思いに達しました。


国をあげてのレースにもなっている「ツールドシンカラ」。
賞金の一部を寄付したいチームがいると知った大臣からは、一刻も早くその寄付が役立つようにと、政府ではなくパリアマン(一番被害が大きかった街)の代表に直接渡してもらってほしいと言われたようです。

そしてこの日表彰式終了後に大会主催者の計らいで、寄付のセレモニー、そしてチームの思いを会場に集まった皆さんにお伝えする機会を作って頂いたのです。


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photo:Sonoko TANAKA


壇上ではチームを代表し綾部勇成キャプテンが、レース会場に集まった皆さんにインドネシア語でこのように言葉を伝えました。


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photo:Sonoko TANAKA


昨年初めてこの大会に参加するために西スマトラを訪れ、とても素晴らしい時間を過ごすことができました。帰国後地震のニュースを聞き、心配することと日本から少しの寄付を送ることしかできませんでした。今年再びツールドシンカラが開催され、また戻って来ることができとても嬉しいです。

私たちは自転車チーム・選手として、自分たちの頑張りを見てもらうことで共に頑張ろうという思いを伝えたかった。でも実際には沿道の沢山の人たちから僕たちが元気をもらいました。応援本当にありがとうございました。
皆さんがレースを楽しんでくれて、何かを感じてくれていたら嬉しいです。


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photo:Sonoko TANAKA


今日は地震で大きな被害にあったパリアマンの街に自分たちがこのレースで得たものの一部を寄付したいと思います。僕たちの走った結果をパリアマンの復興のために使っていただけたら幸いです。

西スマトラの皆さん、色々ありがとうございました。
2011年も「ツールドシンカラ」が開催されまた参加できることを楽しみにしています。


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photo:Sonoko TANAKA


そして最後には全員で声をひとつにして。


Sumatra Barat Rancabana!(スマトラバラット ランチャバナ)
~西スマトラ 最高!(現地ミナンカバウ語)~

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photo:Sonoko TANAKA


最後はこの2枚。
レースは1人は走れません。選手を支えるスタッフがいてこそ安心して勝負に挑むことができます。この2人も共に6日間を戦ってきた愛三レーシングのスタッフです。


リポートにも登場したドライバーのDeviさん(妹さんと姪っ子さんも)ともに
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photo:Aisan Racing Team


もう1人のドライバーJonさん。赤星マッサーとともに
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photo:Aisan Racing Team


2人のドライバーさんはそれぞれ役割があり、Deviさんはレース中の運転とホテルと会場の送迎。Jonさんはホテルから次のホテルに赤星太朗マッサーと向かい、荷物と太朗マッサーを下ろしたらすぐにフィニッシュ地点へむかうという、どちらもハードなスケジュールでした。二人ともチームになくてはならない存在でした。
また来年も愛三の一員として再会できるのが楽しみです。


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レース期間中はたくさんの応援本当にありがとうございました。
まだ日本のロードレースファンの皆さんにはあまり知られていない「アジアツアー」ですが、どの国のレースもたくさんの人が集い、様々な思いをレースに託していること、そしてアジアの国々の力強さ、魅力がほんの少しでも伝わったら嬉しいです。

また来年もこの素晴らしい大会が西スマトラの地で開催されることを心から願っています。

コメント(1)

復興から立ち上がろうという人々の願いがこもった「ツールドシンカラ」でのARTの姿は現地の人々に勇気と希望をもたらすことができたことはサポーターの一員としてうれしく思います。そして選手、チームスタッフも応援してくれる現地の人々に応えるためにより一層の努力を積み重ねていくことを期待してます。ランカウイから着実に成長している選手達にエールを送り続けます。
ガンバレ、ART!アジアのみんなが応援してるよ。

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