昨日6月27日に広島県中央森林公園にて「第13回全日本自転車競技選手権ロード・レース」が開催されました。
愛三レーシングは2009年、チームが一丸となり悲願の全日本タイトルを獲得しました。
この一年間真っ白なチャンピオンジャージを携えてアジア最高峰の「ツールドランカウイ」など様々なレースを戦ってきました。
年に一度のタイトル争奪戦。
ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに出ていても、海外のハイカテゴリーなUCIレースで成績をあげたとしても、日本一を決めるこの大会に対しては、どの選手もどのチームも特別な想いを胸に戦うこととなります。
日本で一番強い選手、そこに導くチームの力。まさにプライドと誇りをかけた一戦です。
チームが目指すのはもちろん「連覇」。
昨年勝ち得たこのジャージを、新しい勝利で再び勝ち取ることを目指し戦いを繰り広げました。
誰もが昨年の覇者 西谷泰治選手の二連覇を意識する中、チームが立てた2010年全日本のエースは2009年全日本タイムトライアルチャンピオンでもある 盛 一大選手。
常に上を目指し、チャレンジを続けてきた愛三レーシング。この全日本で新しいチームの力を証明するべく、盛選手をエースにタイトル奪還に臨みました。
その戦いの全てを、レースの様子を、会場の空気を、監督リポートとディアサポーターズの両方の切り口でお伝えしていきます。
まずは田中光輝監督のリポートでレースの全容と愛三レーシングの戦いを振り返ります。
第13回 全日本自転車競技選手権大会ロード・レース
12.3km×16周 196.8km
photo:Yukari HASHIMOTO
ほどよい緊張感に包まれるチームピット
やはり注目を集めるのは昨年の覇者 西谷泰治選手
今年もサポーターズクラブの有志から
必勝祈願の「千羽鶴」がプレゼントされた
およそ200kmのサバイバルレースがいよいよ幕を開ける
土曜日から降り続けていた雨も止み、予定より15分遅れの11時15分にエリートの部がスタートした。
スタートして1周~2周回は速いペースで進み、アタックがかかるが集団はほぼ1つで進む。3周回目に20名の先行グループが形成される。ここに愛三チームからは別府匠が入った。この20名の先行グループに愛三からは1名しか乗れず不利な展開のため、メイン集団をコントロールして差を詰める走りを行なう。
4周回目に先行グループを吸収し再び振り出しに。ここで愛三から西谷泰治、単独参戦の新城幸也選手を含む3名が抜け出したが吸収される。もうこの時点でメイン集団の人数は50名ほどに絞られていた。
序盤から大人数の逃げ集団が形成
20人の逃げに乗った別府匠選手
メイン集団 中央に品川真寛選手
福田真平選手、松村光浩選手、後方に西谷泰治選手
綾部勇成キャプテン
盛一大選手(左)、最後まで盛選手のアシストに徹する鈴木謙一選手
新城幸也選手(ブイグテレコム)が早々に仕掛けるも3人は吸収
サブエースというある意味難しいポジションを的確に走る西谷選手
5周回目に入りシマノレーシング阿部選手、日本大学の越海選手の2名の選手が集団から抜け出し、メイン集団に最大2分40秒ほどのタイム差を着け8周回目まで逃げ続ける。
愛三レーシングは前方に綾部勇成、福田真平が位置し、チームのために死力を尽くすコントロールを展開。エース盛、サブエース西谷は集団内でチームメイトに守られながら順調に走行していく。
9周回目にメイン集団からシマノドリンキンクの白石選手が抜け出し先行する2名に追い付き逃げが3名となる。
若い2名が逃げ出しに成功 阿部選手(シマノレーシング)・越海選手(日大)
綾部・福田が集団をコントロール
盛 一大選手
別府 匠選手
福田真平選手
メイン集団
品川真寛選手
10周回目に3人の逃げから白石選手の単独で抜け出すがここでメイン集団の動きが活性化。細かいアタックを経て11周回目には集団から6選手が抜け出す。しかしここには愛三チームから誰も入っていない。
この逃げを追走すべく西谷らも動き12周回目に先行する6選手は吸収された。そしてこのタイミングで4選手が飛び出す。
ここに愛三から西谷が入ることに成功。他の逃げメンバーは、NIPPO佐野、シマノ平塚、ブリヂストンアンカー飯島。13周回目にはメイン集団との差を2分10秒まで拡げた。
愛三はここまで積極的に集団をコントロールしてきた綾部、福田が集団から遅れる。集団には、盛、品川真寛、鈴木謙一、別府匠、松村光浩が残っている。
集団から抜け出したのは愛三を含まない6名
4人の逃げに乗った西谷選手
集団には松村光浩選手
梅雨特有の厳しい気候が選手たちの体力を奪う
残り周回も少なくなった14周回目、メイン集団に残る有力な選手たちが動き出し先行する4選手と15名ほどになったメイン集団とのタイム差が1分近くに縮まる。西谷は常に4人の前方に位置し、後ろの追走に入っているエース盛のために果敢な走りを見せる。
前年度チャンピオンの走りに会場が沸く
献身的なアシストで最後の勝負まで死力を尽くす鈴木選手
ラスト1周で西谷を含む先行していた4選手がついにメイン集団に吸収される。ホームストレートでは前方に西谷が、盛が後方に位置しこのまま最終周回の16周目に入っていく。
激しいアタック合戦の末集団は分裂し西谷は後続集団に取り残されてしまう。最終的にはシマノレーシング野寺秀徳選手と鈴木真理選手、TEAM NIPPO宮澤崇史選手と佐野淳哉選手の4名が抜け出しそのままゴール勝負へ。
最終ホームストレートに姿を見せた4人はシマノ対ニッポのスプリント勝負となり、スプリントを制したTEAM NIPPO宮澤崇史選手が2010年全日本チャンピオンを勝ち取った。
最後足が攣り遅れをとった西谷は追走から単独で前を追い、4人に遅れてゴールした清水都貴選手の後に続き、12秒遅れの6位でゴールラインを切った。エースを務めた盛は11位でフィニッシュとなり、共に12位まで与えられるUCIポイントを獲得した。アシストとして盛をサポートし続けた鈴木謙一も疲労困憊のまま完走した。
ホームストレートではたくさんのファンが勝負の行方を見守る
最終周回に入る西谷選手
盛選手
NIPPO対シマノのゴール勝負へ
西谷選手は最後までペダルを踏み続け6位入賞
最後までアシストし自身は完走した鈴木選手
盛選手は11位。赤星マッサーに迎えられて
表彰式
今年の全日本ロード、愛三チームはエースに盛、サブエースに西谷で挑んだ。各選手たちは予定通り動いてくれた。匠は前で待つ意味で先逃げに乗り、綾部・品川・謙一・松村・真平で、愛三チームにとって不利な逃げを潰すためにメイン集団をコントロールした。謙一は最後まで盛に着いてアシストしてくれた。
西谷は盛が入れなかった後半の逃げに乗り、最後まで先頭グループで走り、盛は脚を攣りながらも最後まで勝負してくれた。
2年連続の優勝は成し遂げられなかったけれども、愛三チームとして出来る限りのことはしたので悔いはありません。また来年、全日本ロードのタイトルを再び愛三チームで獲れるよう頑張りたい。
この全日本ロードで愛三チームの2010年前半戦が終了しました。後半戦に向けて7月後半から始動していきますので、みなさんの変わらぬご声援をよろしくお願い致します。(監督 田中光輝)
〔第13回全日本自転車競技選手権ロードレース リザルト〕
1. 宮澤 崇史 TEAM NIPPO
2. 鈴木 真理 シマノレーシング
3. 野寺 秀徳 シマノレーシング
4. 佐野 淳哉 TEAM NIPPO
5. 清水 都貴 チームブリヂストンアンカー +4秒
6. 西谷 泰治 愛三工業レーシングチーム +12秒
11.盛 一大 愛三工業レーシングチーム
完走 鈴木謙一
DNF 綾部勇成、品川真寛、福田真平、松村光浩、別府匠
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「全日本選手権リポート ディアサポーターズ」は近く掲載予定です。
お楽しみに!
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